【書評】Osprey Combat Aircraft 96 “Pe-2 Guards Units of World War 2”

Osprey Combat Aircraft 96 “Pe-2 Guards Units of World War 2”, Dmitriy Khazanov and Aleksander Medved

2017/10/15 一部修正

  • この本について

Dmitriy KhazanovとAleksander MedvedコンビによるPe-2親衛部隊の部隊史。Aleksander Medvedは退役した空軍大佐で、Ozon.ruで確認できるものでは単独でP-38、モスキートのモノグラフも出版しているが、著作の多くはDmitriy Khazanovとの共著によるものになっている。

  • 内容について

 第1章でPe-2の開発と改良を簡単に解説した後、2章以下ではPe-2を装備して親衛隊の称号を得た各部隊の履歴を、部隊ごとに編成から終戦まで記述している。記述内容は編成された場所、移動先、装備機と機数、部隊長の名前、主な出撃や記録すべき出来事、親衛隊への変更、消耗と再編などの情報に加えて、採用した戦術などにも触れられている。

 各部隊の変遷を読み取ることができる一方、部隊ごとの記述であるため戦況や戦術などの記述が断片的で、これらに興味がある場合は読み取るのに少々手間がかかるという一面もある。読み物よりはどちらかというと資料に近い印象だ。とはいえ網羅的な資料というわけではなく,特筆すべき点が重点的に記述されているという性質のものであるため,痒いところに手が届かない印象を受けた。

 そうは言っても、Pe-2の運用について知ることができるという点だけで十分にありがたいものだ。部隊史であるため、Pe-2を装備する以前や装備変更後についても記述があり、この点ではモノグラフよりも大きな視点を与えてくれる。興味のない方が読む場合は漫然とした記述に苦痛を感じるかもしれないが,Pe-2に興味がある方や、ソ連爆撃機部隊に関心がある方には勧められるだろう。